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本当に美味しい料理とは?【エクシブ鳥羽での研修で学んだこと】

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エクシブ鳥羽・鳥羽アネックスで日本料理レストランと言ったら、今ではアネックスの『海幸』です。しかし、かつては本館にも日本料理レストランがありましたね。それが『黒潮』でした。

学卒の私は、このエクシブ鳥羽の和食レストラン『黒潮』で新入社員研修を受けた当時の様子を今でもはっきりと覚えています。。。

今回のエクシブ攻略術は、僕の20代の頃の思い出話を少しだけ語らせてください。

日本料理レストラン『黒潮』での研修

今となっては非常に良い経験をさせて貰いましたし、思い出深い記憶なのですが、その頃の若干20台中盤の私にとって、
正直ホテルスタッフの配属でもなかった自分が、日本料理レストランで研修を受けることに、大変違和感を持ちながらの仕事でした。

現場で簡単な説明を受けて、いきなりその夜からお客様の配膳を任されたときも、正直言って不安しかありませんでしたが、なんとかなるだろうという良い意味での開き直りで研修初日のその夜を迎えました。

さて、いよいよ仕事が始まりました。担当のお客様は、敢えてオーナー様の席を任されることになりました。

ホールの責任者の方が、「今年の新入社員です。ご迷惑をおかけすることもあると思いますが、よろしくお願いします。」と、あらかじめ状況を説明してくれたのですが、その時のオーナー様の表情や雰囲気は今でも覚えているんですよね。

「今日はよろしくお願いします。頑張ってね。」と、穏やかな表情でリラックスさせてくれたオーナー様。

とても仲の良いご夫妻であろうことは、その場の雰囲気からすぐに判断できました。

食事も順調に進んでいったのですが、滅茶苦茶だったのは、僕の料理に対する説明でした。あらかじめ料理内容の説明を受けたうえで、それを実践するのですが、頭が真っ白になるってこういうことだろうという具合。

おそらくかなりのミスがあったはずですが、そのオーナー様は、にっこり微笑みながら聞いてくれたことには本当に感謝しています。

お客様によっては担当を変えてほしいと言いかねないほどの内容だったはず。その時にオーナーになる方というのは、こんな感じで余裕があり、どっしりとした方なのかな?という印象をもちました。

その後は2週間ほどの現場での研修が続いたのですが、料理で特に印象深いのは、今もお造りで出される『鯛の旬菜造り』ですね。

召し上がった方も多いはずですが、お刺身の鯛をサラダ菜?でエクシブ鳥羽特製の味噌をつけて食べる料理。配膳の仕事をしながら、皆さんが美味しい美味しいと言って食べているお客様が本当に多かったように思います。

そして今回も家族でこの料理をいただいたわけですが、とても感慨深く格別の味がしたのはやっぱり当時の研修があったからだと思います。

想い出深い味の『鯛の旬菜造り』。今は家族と一緒にいただいています。

加えて、当時の食事で鮮明に憶えているのは賄いです。仕事が終わると板前さんが作ってくれたのですが、まだ大学を出たての僕でもその美味しさが分かるほどの『出汁』。

そばとかうどんをチャチャっと作ってくれるのですが、これが何とも言えぬ美味しさなんです。仕事が終わった安堵感もあったのだと思いますが、エクシブの料理は美味しいはずだとあらためて感じさせられた経験です。

『黒潮』の女将さんが教えてくれた『大切』なもの

さて、この研修で忘れてはいけない最も貴重な経験があります。それは、当時『黒潮』にいらっしゃった女将さんの存在です。

まだ学卒の僕にとって、ホテルにおける心構えや、社会の厳しさを教えてくれた恩人がその女将さん。とにかく怖くて、厳しい人でした。

さきほど食事は順調に進んで‥と書きましたが、僕の精神状態は常に緊張の連続だったのです。ほぼ毎回怒られ、心が折れそうになりかけましたが。

約2週間の研修の中で、なんとかこの人に何も言わせないように仕事をマスターしようと思ったものです。いつしかその気持ちが強くなるにしたがい、僕の仕事もスムーズに進んで行っているのが自分でも確認できました。

特に研修最後の日。朝食の配膳をしてすべての研修が終わりになる日。その日は、多くのお客様が食事をされていたのですが、女将さんとの連携もスムーズになり、女将さんに何も言われないどころか女将さんが要求していることを言われる前に対応できるようになったことがとても嬉しかったです。

そして、最後の仕事が終わり、女将さんと別れるとき、女将さんから言われた言葉。

それは、「お疲れ様。」そのたった一言でした。

「あれだけ頑張ったのに、それだけかよ~?」と当時の僕は思いましたが、今考えると、とても重い一言であったと思います。そして、あの時の経験は、今では僕の心の支えにもなるほどの貴重な財産となりました。

それは、お客様に、楽しく・美味しく料理を召し上がっていただくためには、作り手と配膳、そしてそれを召し上がる方、加えてそのレストランの雰囲気が一体となることが大切だということ。その為の日々の準備と鍛錬。決して派手ではないけれど、しっかりと的確に、そして正直に。

そんな「あたりまえの事」をスタップ皆がベストを尽くして初めて提供できる美味しい空間。その事を女将さんは言葉ではなく、体験を通して教えてくださったような気がします。

そして何より、現場で働く人たちの思い、そして、そこを訪れる方々の思いと期待感、両方の体験ができたことが、今の僕自身のこの仕事においても大変役立っています。

◇◆◇

これからもそんな素晴らしいエクシブでの思い出や経験をして頂けるように陰ながらサポートさせていただきます。

最後に、この日我が家を担当してくれた、『海幸』の女性スタッフの方は、機転が利き、笑顔がものすごく可愛い素敵な女性でした。もちろん、大満足の鳥羽での夕食になったことは言うまでもありません。