本当の親孝行とは:後編 【エクシブ鳥羽別邸】
エクシブ鳥羽別邸に入ってすぐに感じることは、ここが今までエクシブにはなかった『和の風情』のテイストに満ち溢れているということ。
和の温もりからくる安心感が、落ち着きを与えてくれます。特に私の両親のような年配の方々にとっては、ホッとできる和空間が広がっていました。
さらに、水と石と木々が芸術的に配された庭園に出てみれば、一瞬のうちに鳥羽別邸の独創的な世界に引き込まれていくことを体全体で感じることができました。
色々と計算しつくされた石や木々の配置などを考えながら楽しむのも面白いかもしれませんね。所々に感じられるモダンな要素との融合も随所に見受けられます。
両親の顔の表情を見ても、ここに来て本当によかったなあと思いました。でも、まだ鳥羽別邸の神髄はここから先です。それでは、今回滞在した客室と、いただいた食事をご紹介していきましょう。
今回滞在した客室は、スタンダードグレードのCBタイプと、SグレードのSタイプです。
スタンダードグレードのCBタイプ 残月床ルーム
特筆したいのは、CBタイプの居心地の良さです。宿泊する人数に合わせて、2名定員と4名定員がありますが、今回は4名定員の残月床ルームです。聞き慣れない言葉ですが、簡単に言うと、床の間の形式の一つで、リビングより一段高くなっているのが特徴です。
目新しさはあるものの、賛否は分れるのかな?足元にさえ気を付ければ、これはこれでいいのかな?といった印象です。
むしろ、客室の開放感と明かるさ、そして居心地の良さが際立っており、大変気に入りました。
スタンダードグレードでこの客室に泊まれるのなら大満足されることは間違いないですね。客室の床がすべて畳で設えてあるのも両親にとっては高評価だったようです。
和モダンルームとも異なる落ち着きと新鮮さで、心がすっと浄化されるような印象さえ抱きました。
SグレードのSタイプ
次にSタイプの印象ですが、もちろん調度品や贅沢な造りなど、Sタイプならではの高いクオリティは感じられました。
もちろん、客室に引き込まれている温泉も含めた浴室も評判通りです。そもそも、エクシブ鳥羽内に併設されているスパ&エステ『テルメゾン』で供される温泉のファンは大変多いです。
あのぬめりが特徴的な泉質には誰もが「温泉に入っているな」という感想を抱くことでしょう。そのお湯が客室で味わえるSタイプの満足感はやっぱり格別です。
しかし、今回はスタンダードグレードのCBタイプの衝撃のほうが上回ってしまったのが私の率直な意見です。鳥羽別邸で見る初めての客室への期待感が、少し過大評価に繋がっているのかもしれませんが、それを鑑みても今度泊まる時はここでいいなと思えるほどの印象でした。
炭火焼コーナー カウンターごとのシェフの存在感
まず、この日いただいたのは炭火焼コーナーです。
カウンター12席では、それぞれ担当のシェフがつき厳選された食材を目の前で調理していきます。新鮮な素材を最高の状態でいただくことができるのですから美味しくないはずがありません。もちろん、ただ焼いているのではなく、確かな技術に裏打ちされた調理法によって仕上げられていることがよく分かりました。
さらに、この日印象的だったのは担当していただいたシェフの個性的な演出と話術でした。
今回は初めてでしたので偶然担当していただいたのですが、次回もまた指名させていただきたいと思わせるほど愉しい時間を過ごすことができました。おそらく炭火焼のカウンターに座れば、その方の存在感、すぐにお分かりになると思います。
お酒も伊勢志摩サミットで供された地酒などもいただき、大満足の食事をいただくことができました。鉄板焼カウンターとは一味違う醍醐味が体感できると思います。
日本料理『華暦』 幻想的な『浮殿』で
さらに翌日は、日本料理『華暦』での食事です。
全席が庭園に面し、個室を意識した造りが特別な感情を抱かせてくれます。特に水面に浮いたような印象の『浮殿』での金婚式のお祝いは両親も満面の笑みで、心から喜んでくれているようで本当に良かったです。
旬の食材の美味しさを満喫するとともに、見た目の美しさに拘った和食の神髄に触れ、特別な時間を感じることができました。
さらに、両親が金婚式だということが分かると、スタッフの方々が心温まる演出をしていただき、本当に思い出に残る食事になりました。
もちろん、食事中のスタッフの方々のスマートな対応とリラックスできる雰囲気作りは感心することばかりでした。凛とした姿勢や振る舞いの一方で、素朴な一面も垣間見えるところに、落ち着いた空気が流れ、終始和やかな食事になって良かったです。
翌日の朝食も和食をいただいたのですが、こちらもこれから迎える1日を気持ちよくスタートできるような、そんな期待感を抱かせてくれる食事でした。きめ細やかな態度と、柔和な表情が本当にリラックスできる空間を作ってくれていました。
ちなみにこの日も例外ではなく、和食は人気が高いので、お早目のご予約が好ましいと思われます。
それにしても、『浮殿』での食事も大満足だったのですが、浮殿から見える1本の松が、陸前高田の『奇跡の一本松』に見えたのは私だけだろうか?きっと同じように感じた人もいるのではないかな?
いずれにしても、日本人にとってあの日は忘れてはいけないことを考えれば、この演出が意図的なものであれ、偶然的なものであれ、個人的には素晴らしい演出だと思いました。
ここからが朝食です。(場所は浮殿でした)
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思いがけない母親の一言から始まった鳥羽別邸での滞在でしたが、落ち着ける館内設備と、卓越した料理の数々、さらにはスタッフの皆さんの温かさに包まれ、両親にとっても思い出深い金婚式のお祝いになったのではないかと思います。
ここまで育ててくれ、見守ってくれてきた両親には感謝の思いしかないけれど、まだまだこれからも元気でいてほしいし、今度は別の場所に行ければいいなと思います。
今後も少しずつ親孝行がしていけるように、『今を一生懸命生きる』このことを忘れず、少しずつ前進、成長できたらいいですね。