じいじとばあばの修学旅行(後編)【エクシブ京都八瀬離宮】
《前編はこちら》
桜の満開までは少し早かったこの日でしたが、天候に恵まれたから、これ以上贅沢は言えません。爽快な朝の目覚めとともにじいじとばあばの修学旅行2日目が始まりました。
じいじとばあばの修学旅行2日目がスタート!
この日は楽しみにしていた昼食が最大のメインイベントかもしれません。実は、京都八瀬離宮の予約と同時に入れておいた予約なのです。
そんな朝のはじまりは、もちろん朝食から。娘と私はイタリアンビュッフェで、じいじとばあばたちは和食と、それぞれ分かれて食事をすることにしました。
今回は、1泊2日のスケジュールの中で、東京の伯母夫婦を新幹線で静岡から送り届ける日程でしたので、少しハードではありましたが、楽しくも充実した内容になったのではないかと思います。
まず向かったのは南禅寺でした。京都八瀬離宮から車ならすぐにアクセスできますので行きやすいですね。この界隈には、銀閣寺・平安神宮・知恩院など見所満載なので、観光もしやすいですよ。南禅寺と言えば、立派な三門も見ごたえがありますが、やっぱりここに来たら水路閣ですよね。
琵琶湖の水を京都市内に引いているものですが、この近代建築とのコントラストのギャップが趣がありますね。そして、意外に水量が多く、流れが速いのに少し驚きました。
「満開まではもう少しかかりそうねぇ」と母が言えば、「こんなに天気がいいんだからいいのよ」と伯母。そんな会話を聞きながら、様々な感情が交錯しました。みんな歳はとったけど、私が子供のころの感覚と少しも変わっていないことに気づき、そして、これが当たりまえでないことに感謝する。
さらに、昔から知識が豊富で常に冗談を言って笑わせる伯父が庭の石を指して、娘にこう言った。
「この庭って、君が代みたいだよね」
・・・一瞬何のことが分からなかったが、君が代の歌詞「~~~苔のむすまで」のことを言っていたのでした。
常に本を読んでいる伯父は、昔からこういうことをサラッとさりげなく言う人でした。かと思えば、会話の大半はダジャレですから、常に伯父の周りには笑い声がありました。人のことを決して悪く言うことはなく、アドバイスも的確。
だから、間違いを指摘する際も、頭ごなしに否定するのではなく、相手が素直に聞き入れられるような雰囲気を作ってくれます。
そして、最後は自分で納得させ、自分の意思で決定させる。そんな強くもあり、思いやりにあふれた伯父の耳は、ほとんど正常に会話が成り立たないほど遠くなってしまったが、2日間で私たちと歩いた距離は、25,000歩でした。やっぱり足腰が丈夫なことって、私たちにとってとても大事なことなんですね。
昼食は名店『祇園 もりわき』さんで
南禅寺を出た後は、円山公園~八坂神社~高台寺~清水寺とお決まりのコースをゆっくりペースで散策し、祇園界隈に戻ってきてから、本日のメインイベントであり、最後のスケジュールでもある
『祇園 もりわき』さんでの昼食に伺いました。
もりわきさんは、ちょうど祇園は花見小路の裏路地に所在し、アクセスも非常にしやすく、分かりやすい場所にお店を構えていらっしゃいます。カウンター6席・4名テーブル1席のこじんまりしたお店ですが、その居心地の良さと、切り盛りされているご夫婦の温かい雰囲気がすごく感じられる名店です。特にお昼のランチは、リーズナブルな価格設定で満足度もとても高いと思います。
この日も写真にはありませんが、玄米のスープから始まった懐石は、体にやさしくもあり、しっかりとした技術に裏うちされた料理であることが食通でない私にもわかる料理の数々を、存分に堪能しました。そして、料理の最後、〆の蕎麦が出た時に、実は静岡の蕎麦の名店で教えをいただいたことを知りました。
そんな話をしながら、最後の果物がでるまで一切妥協のない料理と、温かい空気に包まれた幸せな時間は、あっという間に終わってしまったのです。
そして、お店を出る際に、伯父が名残惜しそうに店主と話をしていた姿がとても印象に残っています。
振り返ると、店主のご主人と奥様がずっと見送ってくれていました。こんなところに、名店でありながら、常にお客様に支持されている理由を知ります。
修学旅行の終わりに・・・
「それでは、帰ろうか!」
楽しかったじいじとばあばの修学旅行も終わりを告げようとしています。今では、新名神や伊勢湾岸道のおかげで、静岡から京都へのアクセスは非常に楽になりました。帰りは安全運転で帰りますよ。
約4時間の静岡への帰宅途中、伯母が不意に話し始めました。
伯母 「あっちゃん、あなたホテルのお金払ったでしょ!」(この歳になっても呼び方は子供の時のまま)
私 「払ってないよ」
伯母 「そんなはずはないよ。ちょっと安すぎるもの」
実は、今回は私が運転をするということでホテルの料金は私たちの分も払ってくれるということになっていたのですが、娘も急遽参加することになったので、ルームチャージ代くらいは払おうと思い、先にルームチャージだけは支払いを済ませていたのです。
したがって、食事代等の請求をさせていただき支払いは済んだはずでしたが、伯母はずっとそのことが気になっていたようで、
伯母 「私、ずっと気になっていたのよねえ。こんな金額になるはずないって」
今年で80歳になる伯母。自分の中では、子供のころのおばちゃんと全く変わっていなくて、なんだか嬉しかった。81歳の伯父も寝ることもなく、ずっと起きていたようだ。私の運転が心配で寝られなかったのかな?
そして、無事に静岡へ着きました。名残惜しい時ではありますが、きっとまた近いうちに会えるよね。2人の背中を見送りながら、じいじとばあばの修学旅行+孫娘も終了となりました。娘にとっても貴重な思い出になったことと思いますが、来てくれて本当に良かったよ、ありがとう。
皆さんもご家族だけでなく、こんな感じで企画されたら、エクシブの活用範囲もずっと広がると思いますよ。
最後に、東京の自宅に到着した伯母から電話が入りました。
「今日はありがとう。楽しかったわ~。それと、パパがあっちゃん運転上手いなあって、言ってたわよ。また、会いましょうね」
良かった。少しだけ安心しました。