生きて!
日本サッカーの歴史に残る試合が行われたその日、僕にも運命の?出来事が起こりました。
場所は長野県小谷(おたり)村の道の駅。
仕事の関係でこの地を訪れていた僕に向かって、観光客らしき男性が…、
「ツバメが巣から落ちちゃって!来てくれる?」
一瞬、「え~っっ!?」
ていうか、この人僕を見てるよね。目も合っちゃったし、ロックオンされてますか!?
もう、他人の振りはできないかっ!
ということで、案内されたのが男子トイレ。
もうすでに、入り口付近で助けを求めているのか?怯えているのか?尋常ではない泣叫ぶ鳥の声が聞こえてきました。
そして行ってみると、ツバメの雛は洗面台のボールの中で全身ずぶ濡れの状態で、必死にもがいていたのです。
「まずは、ここから出さなくては!」
しかし、地上から3m位の巣で生活していたツバメにとって目の当りにする光景は、きっと恐ろしい光景以外の何物でもなかったはず。
僕が手を差し出すと、羽をバタつかせ、弱弱しい嘴で僕の手を突こうとします。きっと怖かったんだね。
でも、ここに放置するわけにもいかずとりあえず救出。
そして、そこから頭上を見上げると…、
そこに巣はありません。
しかし、このトイレには内部と周囲を合わせると、恐らく最低でも10個以上のツバメの巣が!
どこから落ちたのかな?すぐに巣に戻そうにもどこの巣から落ちたのかわかりません。
しかも、ツバメの雛はすでに弱弱しくなっており、今にも死んでしまいそう。とりあえず、全身を乾かし、タオルでくるんで、たまたまあった発泡スチロールで様子を見ます。その時も、なかなか体に触れさせてくれず、完全に怯えています。
すると、開いていた目がだんだんと閉じていき、体も傾いてきた。
「ダメかな?」
「ガンバレ!寝ちゃダメだよ!」
でも、やっぱりダメか?まあ、もし死んでしまったら、お墓に埋めてあげよう。
きっと巣に返してもきっと助からないだろうとの判断で僕が持ち帰ることにしました。
ちなみに、第一発見者のおじさんはすでに現場にはいませんでした。
その後、数時間経過…。
もう死んじゃったかな?恐る恐る上から覗いてみると、
「んんっ~、さっきと場所が変わってる!」
もしや、と思い顔を覗いてみると、目をパッチリと開け、僕の顔を見ているではありませんか?
僕のことを親と勘違いしてるのかな?(いえいえ、そんなことありません。)
いずれにしても、容態が回復したようだ。その後、自宅までの5時間の道程でしたがツバメの雛は頑張って生きてくれたようです。
しかし、問題が…。
エサを食べてくれないのです。このままでは、死んでしまう。
やっぱり親鳥からでないとダメかな?
そして、今日。
少し緊張して鳥かごを見てきると、元気に生きてくれていました。
「よかったっ!」
さらに、なんとかエサを食べてもくれたしね。
でも、まだまだ安心はできません。
しっかり食べないと元気になれませんから。
ただし、このツバメは僕の家に居続ける事は決して良いことではありません。自然の生き物は、自然の中で生きていかないと。
厳しい自然の中で生きていくには離してしまったほうが良いのだと思います。
でも、飛べるようになるまで我が家で様子を見ることにしました。
ただ、息子が学校へ行くときに恐ろしい一言を残して登校。
その言葉とは…、
「学校の帰りにいっぱい虫獲ってくるからね!ツバメにあげるんだ」
虫が嫌いな人にとっては恐ろしい一言に違いありません。
それでも、なんとか頑張って生きてほしいですね。
「ガンバって、生きて、”オタ”!!!」(小谷〈オタリ〉村で見つけたので、”オタリー”と名づけました)